Macで有機化学をする研究環境の構築 (Homebrew編):M1 Mac版

M1 Macで化学をする環境を作ろう!

早くて安いと評判のM1 Macにて、便利なパッケージ管理システムであるHomebrewを使って化学をする環境を構築する手法を紹介したいと思います。

Intel Mac版はこちら↓

関連記事

Homebrew (パッケージ管理システム) を使おう! 有機化学をやるMacユーザーにとって、OfficeやChemDrawのように必須というわけではないけれど、とても便利なソフトウェアとしてHomebrewがあります。Homebrew[…]

Homebrew (パッケージ管理システム) を使おう!

有機化学をやるMacユーザーにとって、OfficeChemDrawのように必須というわけではないけれど、とても便利なソフトウェアとしてHomebrewがあります。Homebrewはパッケージ管理システムです。ここではHomebrewを使ったMacでの環境構築について説明したいと思います。

  • Homebrew
    ターミナル(コマンドを打ち込むソフトウェア)から使うパッケージ管理システムです。いろいろなUNIX系ソフトウェアを簡単にインストールできます。Homebrewを使うとMacの環境構築・管理が劇的に簡単になります
  • iTerm2
    Macの定番ターミナルです。Macに標準でついているターミナルよりも高性能です。GaussianpythonなどをMac上でつかったり、リモートのサーバーに接続するときに使います。HomebrewiTerm2から使います(標準のターミナルからも使えます)。

Homebrew による環境構築

Homebrew のインストール

Homebrewターミナルからコマンドでインストールします。ターミナルLaunchpadから[その他]を選ぶとその中にあります。

 

下がターミナルの画面です。ここにコマンドを打ち込んでHomebrewをインストールします。

Terminal
ターミナルの画面

まずは、Homebrewをインストールする前に、コマンドラインツール (command line tools) をインストールします。ターミナルを開いて下記コマンドを入力します ($は含みません)。

$ xcode-select --install

Homebrewをインストールするコマンドはたまに変わるので、Homebrewのサイト(https://brew.sh/)で確認して、ターミナルに入力します (2022年3月4日現在は下記コマンド。$は含みません)。ログインパスワードを要求されたら、入力します。

$ /bin/bash -c "$(curl -fsSL https://raw.githubusercontent.com/Homebrew/install/HEAD/install.sh)"

インストールにしばらく時間がかかります。インストール後、Homebrewのパスを追加するように指示が表示されますから、その通りに入力します。(Intel Macの場合Homebrewは/usr/local/にインストールされますが、M1 Macの場合は/opt/homebrew/にインストールされます)

echo 'eval "$(/opt/homebrew/bin/brew shellenv)"' >> /Users/<ユーザ名>/.zprofile
eval "$(/opt/homebrew/bin/brew shellenv)"

パスが指定できたら、ターミナルを一度再起動して、ターミナルで下記コマンドを実行します。

$ brew doctor

実行してエラーが出なかったら成功です。かなり厳格なチェックなので、エラーが出ても、問題無く動くことも多いです。

Homebrewの使い方

$ brew update #プログラムデータベースの更新
$ brew upgrade #homebrewでインストールしたアプリを更新する
$ brew install hogehoge #hogehogeというプログラムをインストールする

updateとupgradeは、たまに実行した方がよいです。

iTerm2とRictyのインストール

iTerm2 は brew cask コマンドを使うと簡単にインストールできます。また、iTerm2の標準のフォントよりも、見やすさに定評のあるフォント Ricty をインストールし、そちらに切り替えるのがおすすめです。


$ brew install --cask iterm2
$ brew install automake pkg-config
$ brew tap sanemat/font
$ brew install --cask xquartz
$ brew install ricty
$ cp -f /opt/homebrew/Cellar/ricty/4.1.1/share/fonts/Ricty*.ttf ~/Library/Fonts/
$ fc-cache -vf

上記 4.1.1 の数字はバージョン番号でその時々で変わります。ricty/までだして、Tabキーをおせば、自動で数字が補完されます。

iTerm2を立ち上げて画面上の[iTerms2]タブをクリックして[Prefernces]-[Profiles]-[Text]でフォントを Ricty に変更し“Use a different font for non-ASCII text”のチェックボタンを外します。フォントサイズは自分の好みで調節します。
以後はコマンドラインはターミナルではなくて、iTerm2から入力します。

また、iTerm2のデフォルトの配色は自分の好みで変更できます。[Preferences]-[Profiles]-[Colors]Color Presets から変更します。私は Pastelを使っています(下のような感じになります)。

gcc等のインストール

iTerm2に以下のコマンドを入力して、主要なプログラムをインストールします。

$ brew install vim coreutils wget gcc openssl

最新版のvimgcc等が入ります。

zshの設定

zshの設定はホームフォルダ (/Users/<ユーザー名>/) に .zshrc ファイルを作って行います。お奨めの設定は、http://d.hatena.ne.jp/oovu70/20120405/p1の設定です。この設定で .zshrc を作成し、そのOther settings 以降を下記に変えます。

# ------------------------------
# Other Settings
# ------------------------------
### Aliases ###
# alias emacs='/Applications/Emacs.app/Contents/MacOS/Emacs'
alias vi=vim

# Gaussian16 (Gaussian16が入っている場合のみ。無いときは不要です。<ユーザー名>には自分のユーザー名を入れます)
export g16root="/Applications"
export GAUSS_SCRDIR="/Users/<ユーザー名>/Scratch"
. $g16root/g16/bsd/g16.profile 

(2021/6/6 Gaussianについての設定をGaussian社のマニュアル通りに修正しました)
(2023/1/4 パスの設定を削除しました)

brew-cask による Dropbox, Evernote, Google Chrome, Skitch のインストール

brew-caskを使えば、Dropbox, Evernote, Google Chrome, Skicth 等もコマンドラインから簡単にインストールできます。いちいちパッケージをダウンロードしてくる必要はありません。大変便利です。

$ brew install --cask dropbox evernote google-chrome skitch

brew-caskによるVSCodeのインストール

テキストエディタであるVSCodebrew-caskでインストールできます。

$ brew install --cask visual-studio-code

インストールしたら、日本語化などの設定をします。
参考:Visual Studio Codeを日本語化する (Let’sプログラミング)

XQuartzのインストール

Rictyをインストールした人は既に XQuartz が入っているはずですが、XQuartz が入っていないと Mercury 等の一部のアプリケーションが起動しません。有機化学している人は XQuartz は入れておいた方がよいです。Homebrewbrew cask コマンドで簡単にインストールできます。

$ brew install --cask xquartz

その他のソフトウェアの導入

以下のソフトウェアは Homebrew ではインストールできませんので、別途インストールする必要があります。

  • Microsoft Office (有料)
    有機化学系の著作物は基本的に構造式はChemDrawで書いて、それをWordに埋め込んで提出せよというのがほとんどです。論文や学会予稿もWordのテンプレートをダウンロードして、それを使って書きなさいというものばかりですから、Officeは必須です。買うと高いですが、所属先がサイトライセンスを持っていることも多いと思います。
  • ChemDraw (有料)
    構造式描画ソフト。業界標準です。お高いのでサイトライセンスがないとつらいです。
  • Delta (無料, 要登録)
    JEOLのNMR解析ソフト。
  • Mercury (フリー)
    X線結晶構造ファイル (cifファイル) を見るためのソフトウェア。フリーです。The Cambridge Crystallographic Data Centre (CCDC) のダウンロードサイトからダウンロードできます。自分が作った化合物の結晶構造をグリグリ動かすのは気持ちよいです。
  • Gaussian & GaussView (有料)
    DFT計算するためのソフトウェア。計算科学をする人がいちばんよく使っているソフトウェアだと思います。
  • CYLView (フリー)
    gaussianの構造式を3D表示するためにソフトウェア。フリーです。cylview.org からダウンロードできます。かっこいい図が出力できます。
  • Filezilla (フリー)
    サーバとSFTP接続するのに必要な FilezillaFilezillaのウェブサイトからダウンロードしてインストールします。
>mitsudo.net

mitsudo.net